幼児番組で、一年の歌があった。
「三月さよならおひっこし」
そうかぁ、三月はさよならなんだぁと思った
あの瞬間を、今でもはっきりと覚えている。
年度末最終日、お世話になった方々が
転勤や定年で職場をあとにした。
出張届の書き方ひとつおぼつかなかった私を
可愛がってくださった人ばかりだった。
机をきれいにしているのを見ると、切ない。
大きくなるのよと言葉をかけてくださるのが、嬉しい。
私は明日から新任指導を任されたため、
転勤する直属の上司には「もう先輩ね」としみじみ言われた。
そうなんだ。
私、明日から二年目なんだ。
手探り期間は終わった。
明日からは確かなことをするんだ。
父親と同じ年で、すごく身近だった
先生に「お世話になりました!」と大きく手を振って
勢いよく職場を出た。
ふわっと風が吹き、頭上の桜が舞って降り注いだ。
雨はいつしか止み、満開の桜の向こうに青空が見えた。
友達や恋人との別れのほかに
仕事での別れを初めて経験したなぁ。
そんなことを考えながら、バス停まで駆けていった。
春だね。
明日からは、にねんめ☆
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